産構審商取分科会第1回議事要旨先 物 新 報

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産構審商取分科会第1回議事要旨

高井(住友商事理事・エネルギー本部長、以下敬称略) 今、残念ながら我々は東工取ではなくて、欧米の取引所を主に利用している。この理由はひとえに流動性の低さによる。東工取の出来高は最近は若干上昇に転じていると言われているが、実際にはピーク時の4分の1くらいのマーケットサイズに落ちている。今の国内商品先物市場では、当業者のヘッジニーズを満たしていくというには実力不足と言わざるをえない。過去数年間、新取引システムの導入、ミニ取引の開始、取引時間の夜間の延長、スパン証拠金の導入等、流動性の減少を食い止めるべく最大限の努力をしてきたが、結果としては我が国の商品先物市場の地盤沈下というのは止まっていない。このままでは数年のうちに市場そのものが消滅する危機に瀕していると言っても過言ではない。そんな中で今般の総合取引所構想は、日本の商品先物取引所に残された唯一の生き残りのための道である。商品市場には10万口座しか顧客口座がないが、金融先物にはその何倍もの顧客口座数が存在する。今回の総合取引所の議論で、商品先物取引所と金融先物取引所が一体化することで、出来高や取組高が回復していく契機になると感じている。その際には、取引所同士の一体化のみならず清算機構、保護基金、そして監督官庁の一元化もぜひ実現をしていってもらいたい。特に、監督官庁の一元化につきましては、金融庁に一本化すると聞いているが、商品取引には産業政策的な側面も必ずあるので、すべて金融的な切り口で規制監督をすると、我々金融業者ではない当業者にとっては安全性の低いものになってしまう恐れがある。そういう事態を回避する意味でも、金融庁に加えて経産省、農水省が合流するような形で日本版CFTCのような規制組織を設置することが望ましい。

佐藤(カーギルジャパン穀物油脂本部穀物グループ統括部長) まず現状について、農産物取引の流動性のデータは工業品の比ではなく歯止めがかかっていない。特に、主力商品であるとうもろこし、大豆の出来高では大変な危機感を感じている。去年1年の月間出来高の一昨年同期比によるととうもろこしの75%減、大豆では80%減だ。この世界情勢を踏まえ非常に国益を損ないかねない問題と考えている。考え方を規制から育成へ変換して市場参加者の増加が見込める、結果として流動性向上が実現できるような市場機能の維持・向上を、また中長期的な対応・対策をお願いしたい。2点目には規制の見直しについて、前回の産構審において見送りと報告されたと思っていたところ導入された不招請勧誘の禁止が今回の取引低迷の大きな要因の一つになっているのではないかと考える。当時の見送りの理由だった苦情件数の減少という傾向は今も続いており、この辺で一度見直し検討をしてもよろしいのではないか。3つ目は取引所の体制についてだが、農産物市場はアジア圏で旺盛な需要を背景に食糧事情が大きく変化する可能性がある。一方TPP、EPA、FTAなどによる農産物取引の自由化を常に想定しながら商品先物市場はそれを十分に準備しておく必要がある。農産物においてもいくつもの新規上場商品の候補があるが、受渡し等に関わる運用部分の取扱いに対応できる体制を整える必要もあるだろう。

岡地(日本商品先物振興協会会長) 我々も総合取引所の目的とか趣旨には賛同するが、重要なことはそれが本当に商品市場の活性化につながるものでなければ意味がないという事だ。現在の商品市場の特徴は、金とそれ以外の市場の商品の出来高に大きな格差があること。一般的に金は金融商品と比較的親和性があると考えられているが、それ以外の商品は、やはり金融商品とはかなり性格が異なっている部分もある。特に石油などは複雑な現物の受渡し業務も伴うため、仮に総合取引所に一体化された場合には金以外の商品は衰退してしまうのではないかという懸念がある。石油関係、ゴム、農産物といった市場は、当業者など建玉の比率も非常に高く、重要な産業インフラとして機能しているが、一体化しても一部の商品に偏らず商品全般の流動性を確保していくという手立てが重要だ。また総合取引所に関して、先物協会の会員各社の最も大きな関心は財務基準だ。多くが金商法の自己資本規制比率の適応を懸念しており、仮にこの基準が適応された場合には、かなりの数の商先業者が廃業や撤退を余儀なくされる可能性が高い。現在の厳しい経営環境では財務基準で一定の猶予期間を設けても根本的な問題解決にはならないために、仮に一体化される場合においては現在の商先法における純資産額規制比率と同等の基準が商品のみを取り扱う業者に対しては恒久的な特例措置として認められるということを求めたい。同様に分離保管やクリアリングにおいてもほとんどの会員は現在の委託者保護基金やJCCHの制度の存続を求めている。行為規制においても金融デリバティブと商品先物では大きな格差があるが、この整合性を図ることが重要だ。

江崎(東京工業品取引所社長) 取引所を統合すれば取引が活発化するというものではない。むしろいかにして多様な取引の参加者を得て市場、仲介業者、それから取引所にとって利便性を高め取引を活性化できるかがポイントで、統合は目的ではなく手段である。まずそういう認識が必要ではないか。委託者にとっての利便性、ブローカーにとっての利便性、取引所にとっての利便性と、この三者にとってプラスになるということが大事。具体的には一元化しないまでも商品も含めた総合口座から個別の口座まで容易に作れるようにしてもらいたい。ブローカーへの規制についても一元化され、レベルも揃い、簡素化かつ合理的に是正をお願いしたい。清算機関についても、投資対象によって分かれているとかなり煩雑になるため、これもなるべく一元化してもらいたい。委託者に対するペイオフの制度も一緒。もうひとつ言いたいのは、現在世界の取引所で統合や連携が進んでいるが、背景の一つにシステム投資の効率化があると思う。膨大なシステム投資への対応について、完全な事業譲渡や合併の場合だけではなく、色々な形態に合わせて柔軟に実行できるように考えてもらいたい。税制についても一体化し、ヘッジ会計についても要件が厳格で使いにくいという話を法人からよく聞くが、これらの問題が解消されるという前提で初めて統合は意味を持つ。また商品を扱うブローカーは端的に言って経営体力が弱いが、証券並みの水準を求めるとかなりのブローカーが撤退を余儀なくされる。商品は現在市場存亡の危機にあるが、こうした実態を十分踏まえて市場撤退を余儀なくされることがないよう配慮をお願いしたい。

唯根(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事) 不招請勧誘禁止について、資料にもあるように消費者契約の中でこれだけ苦情件数が激減して、なおかつ市場が復興しつつあるということは、消費者保護の意味では効果が出てきた。この状態で苦情が来るということは、その業者は詐欺的、違法であると簡単に見分けがつく状況だ。こうした取組みを他の金融商品にも広げていってほしい。

多々良(日本商品委託者保護基金理事長) 保護基金の主たる考え方を述べると、金商法に規定された総合取引所で商品デリバティブ取引を行う場合は、第二の日本投資者保護基金を設立し、そこの加入を義務付ければよい。なぜなら金商法の金融デリバティブ取引及び商先法の商品先物取引双方を行っている業者が経営破綻した場合、顧客は双方の取引を行っていた場合不利な扱いを受ける恐れがあるためだ。役所から聞いたところでは、商先業の許可を受けている業者で投資者保護基金への会員になっていない社については、同基金への加入を免除する代わりに当該商先業者には委託者保護基金を通じて業務を行える動きがあるとのことだが、これは認められない。投資者保護基金と委託者保護基金の会員とでは財政基盤に大きな差があることが明らかであり、委託者保護基金の会員は経営上より厳しい状況に追い込まれることになりかねないからだ。当基金の財産は商先業者の委託者保護に使用されるべきだと考えている。証券会社で商先業務を行いたい社は、委託者保護基金に新たに加入するべきだ。

細井(JX日鉱日石エネルギー執行役員需給本部副本部長) 石油当業者の立場で、現在先物市場とは深い関係にある。市場価格の合理的指標が必要となっており、東工取の先物市場に大きな期待をかけている。だが、昨今だいぶ出来高が低下しており、指標となるにはまだまだだと認識している。総合的な取引所の論点では、市場活性化につながるのであれば問題ないと考える。海外市場で原油コストが決まり、さらに競争力をつけて国内原油価格が海外で決まっていくという流れは避けたいので、ぜひ国内市場の活性化をお願いしたい。

川村(大和総研専務理事) 異なる商品をラインアップしてシナジー効果を高めるということを裏面からみれば、業者にとってどれだけ使い勝手がいい市場かということと同義だと思う。非常に高度なシステムや取引であっても、シンプルで分かりやすいということに尽きる。こういう経緯に照らしてみると、総合取はいい枠組みだと予感している。だが制度の建て付けと現実の生々しさみたいなものをどううまく収斂させていくかということが重要な点ではないかと感じている。制度を美しく作っても運用できない制度では意味がない。様々に一元化できる部分はあるが、すべてを一気に実行するというのは無理があり、濃淡を考えて取組むべきだ。まずは規制を一元化すべきで、監督官庁が分かれている状態では、新規の参入者は非常にやりにくいだろう。この他清算機構、業者規制はもう少しステップを踏んでいいのではないか。不招請勧誘について証券界を例に出すと、今問題になっているのは未公開株や未公開社債の勧誘だ。これは一般的に証券界の問題だと思われているが、正式に認可された営業マンではなく営業資格を持たない人間が行っている行為であり、これを真面目にやっている証券業界人に責任を取らせようとするのが問題だ。消費者団体と証券の実務に携わる人間の間ではまったく議論がかみ合わない。店頭取引なら不招請勧誘も必要だろうが、取引所取引にも不招請勧誘をかけるというのでは、取引所を信頼できないと言っているのに等しい。取引所取引については不招請勧誘は不要と思う。

大田(日弁連消費者問題対策委員会委員) 平成16年当時の被害はかなり悪質なもので、強引な勧誘で多額の資金を失うなどの被害をたくさん見てきた。出来高の低下については、当時の顧客層では不招請勧誘によるものが多く、こうした客層が排除された結果であるなら市場の信頼性を高めることでもある。活性化は望ましいが、被害者が出る仕組みになることは避けるべきで、規制緩和をすればまた過去に逆戻りしそもそも市場の活性化にはつながらず、ぜひ実態を踏まえて検討してもらいたい。

荒井(日本商品先物取引協会会長) 勧誘規制について、法律には目的、理念があり、委託者保護はひとつの大きな法理念だが、唯一それだけではない。商先法には、市場の適正な発展などが入っており、その中に委託者保護などが入っていると思う。確かに過去の勧誘のあり方に反省すべき点があったことは認めなければならないが、21年改正の時点ではトラブルが激減していた状態だ。当時の産構審のコンセンサスだったはずで、バランスを考えながら規制のあり方を考えなければならない。再勧誘禁止で相当ダメージを受けていた市場に不招請勧誘が重なってきたわけで、この10年くらいの規制のあり方を振り返ると、バランスが委託者保護の方に傾きすぎていたのではないか。事前規制も大事だが一旦起こったトラブルをどう迅速に解決するかという仕組みを作るという全体のトラブル対応を考えていくことが大事。

三次(ファイナンシャル・プランナー) 総合取を作ったところで、特に世界的な順位が上がる状況は見受けられない。箱を作るだけで取引が増えるというのは楽観的すぎる。まず商品先物取引を世間に紹介する機会が非常に少ない。ネットでも商品CFD、ETF、海先など取引できる中、あえて国内の商品先物に参加するメリットがない。商品先物はイメージが悪く、怖いという認識を持っている人が多く、この部分を払拭する方法を考えていくべき。法人についても、本来リスクヘッジを必要としている企業が参加していない状況にあり、いずれも意識の改革が必要だ。

渡辺(東京穀物商品取引所社長) まず、今回の産構審の答申を主務省は本当に尊重するのかまず聞いておきたい。前回行った産構審では、ある意味一番重要な点が無にされたわけであり、ここが審議を進めていく上での大前提だ。川村氏の意見はまことにノーマルで、そういう風に考えるのは当たり前。大田氏の言われた点については、規制緩和ではなく前回の答申のラインに戻るということであり、これが非常に大事なこと。商品先物市場が機能していくことにおいて、流動性は大前提となる。流動性を損なう仕掛けになっていることに問題がある。前回は散々議論をして日弁連の代表者も仕方がないということで、国内の商品先物取引では不招請勧誘を認めていこうという話になったわけで、そこにもう一度さしもどるのは決して規制緩和ではない。

池尾(慶大経済学部教授) 組織のあり方は、まず何がしたいかが前提にあって、それを実現するために組織があるはず。金融市場の資金を商品先物市場に入れるということが端的な目的。何が制度上の障害になっているか、これを整理する必要がある。

豊永(経産省審議官、渡辺委員に対する回答) ここでの答申は当然尊重する。今回も最終的な法改正は国会に委ねるが、不招請勧誘について、当時と今を比べてどう違いがあるか、一度示す必要がある。

【委員名簿】(敬称略)
◇座長 尾崎安央(早大法学部教授)
◇委員 荒井史男(日本商品先物取引協会会長)、池尾和人(慶大経済学部教授)、江崎格(東京工業品取引所社長)、大田清則(日弁連消費者問題対策委員会委員)、岡地和道(日本商品先物振興協会会長)、川村雄介(大和総研専務理事)、橘川武郎(一橋大大学院商学研究科教授)、佐藤広宣(カーギルジャパン穀物油脂本部穀物グループ統括部長)、高井裕之(住友商事理事・エネルギー本部長)、多々良實夫(日本商品委託者保護基金理事長)、細井広嗣(JX日鉱日石エネルギー執行役員需給本部副本部長)、三次理加(ファイナンシャル・プランナー)、唯根妙子(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事)、渡辺好明(東京穀物商品取引所社長)
◇オブザーバー 古澤知之(金融庁総務企画局市場課長)、高橋英樹(日本商品清算機構社長)、岡本安明(関西商品取引所理事長)

Re:雑感

pvpmtfv 様

お返事が遅くなりました。
23日に産構審の第2回会合が開かれます。

学問については、それぞれの学者が自説を持っているのは当たり前ですし、それが良い悪いは素人には判断しかねますが、少なくとも商品先物市場については出来高増に繋がっていないことは自明の理です。

学究と経営は、別に考える必要があると思います。

  • 2012年02月21日火
  • URL
  • 先物記者 #-
  • 編集

雑感

いつも思うのは「商社の人たちの迫力」と「経済学者が役に立たないこと」。池尾和人氏はTOCOMの役員もやっていますが、役に立っていますでしょうか。

  • 2012年02月19日日
  • URL
  • pvpmtfv #-
  • 編集

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