2015年02月先 物 新 報

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不招請勧誘禁止、6月から一定条件満たせば適用除外に

未経験者は「65歳未満」「非年金生活者」「年収800万円かつ金融資産2,000万円保有」

経産・農水両主務省は1月23日、商品先物取引業者に対する新たな勧誘規制を盛り込んだ商品先物取引法施行規則の改正省令を公布した。6月1日付で施行される。

注目された不招請勧誘禁止措置の扱いについては、限定的な緩和措置を採った。具体的には「未経験者」の場合
・65歳未満であること
・年金生活者でないこと
・年収800万円以上かつ金融資産を2,000万円以上保有すること

の3点をすべて満たせば訪問または電話勧誘を可能とする。加えて外国為替証拠金取引(FX)または株式の信用取引など「経験者」は、他社の顧客であっても上記同様の勧誘が可能となる。

さらに適切な知識を有する「資格保有者」との位置付けで、弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー・証券アナリストなども同じく勧誘対象として認めた。

2005年(平成17)5月の改正商品取引所法施行による勧誘規制導入で国内商品先物市場の出来高は急落の一途を辿り、多くの業者や取引所を闇に葬った。市場は風前の灯で自助努力ではどうにもならない水準に至り、行政サイドも腰を上げざるを得ず規制見直しに着手した結果、紆余曲折あり10カ月近く経ってようやく結論を出した。

すべては先物市場復興のためだが、その効果については今から猜疑的な声も聞かれる。ある大手商先業者首脳は「はっきり言えば再勧誘禁止まで撤廃しないと回復は難しい」と語る。東商取では国内個人投資家の比率が年々減少しており、相対的に海外比率が頻繁に過去最高を更新している。

商先業者も商品先物以外の金融商品に軸足をシフトする動きが目立つようになっている。今回は勧誘規制の見直しに対し強固に反対してきた内閣府消費者委員会などへ、ある程度寄り添った形での対処ではあるが、仮に効果が薄いようであれば「第2の矢」を即座に放つ必要がある。


商品先物に限らず、すべての勧誘行為はまずアプローチから始まる。相手が目を向けてくれたら次に商品説明やキャンペーン紹介といった勧誘に入り、相手が納得して契約締結となる。商先法が完全施行された2011年(同23)以降、アプローチ段階の前部分にシャッターが降ろされ、業者はどうにもならなくなった。これを全撤去とはいかないまでも、部分的に抜け穴を開けたのが今回の改正省令となる。

もちろん従来同様、相手が拒否する意向を示したら勧誘途中であってもすぐに打ち切らなければならず、相手が契約の意思を示した場合でも未経験者に対しては理解度確認のためにテストを行い、さらに契約後は熟慮期間として14日間は取引できないとする制度を定めた。

このほか投資上限額として年収と保有金融資産額の合計の3分の1を超える金額は設定不可としており、契約締結から1年間は投資上限額を超える証拠金を受託することはできないものとする。

05年に導入された行為規制では、適合性原則・不当勧誘規制・説明義務などにより、
・年金等生活者、一定収入未満や高齢者(75歳)
・再勧誘の禁止、夜間等不適当な勧誘禁止
・商品先物取引の仕組みやリスク等の説明義務化と理解の確認、断定的判断の提供禁止

などが施行規則に盛り込まれた。出来高の減少はこうした規制強化も確かに主要因だが、規制に対する営業部署の社内体制整備が遅れたという業者側の問題も大きく尾を引いた。

もっともこれについて、当時は勧誘規制とほぼ同時期に委託手数料が完全自由化され、さらに旧法における法令違反に対する大規模な検査が入るという観測が業界全体に広がったことなど、各社とも対応すべき項目が山積していたという背景も大きい。

事実、業界の一部からは「国際的な制度改革はいいが、何も今やる必要があるのか」、「主務省や取引所は実情を勘案しない制度を押し付けてくる」など不満の声も上がった。ただこうした怨嗟は法施行後に出てきたもので、業界団体指導部への批判も含まれている。

今回の規制緩和も「これではまだ足りない」とする不満の声も聞かれるが、今や規制自体が金融商品や国家を跨いだ“グローバル化”の波に乗っている以上、かなりの部分で整合性は取らざるを得ない。広がったルール枠で何ができるか、今から熟慮し準備を進めておくことが6月のスタートダッシュに生きてくる。

商品先物市場の重要性は何ら揺らぐことはなく、発展への高い潜在力は変わらず持ち合わせている。緩やかであっても、フォローの風をいかに有効的に活用するかは、業界あるいは企業の判断とその対応次第といえるだろう。

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