2014年03月先 物 新 報

先 物 新 報

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証券界、独自に総合取設立路線へ舵取り

日証協内に商品デリバティブ検討委設置

日本取引所グループ(JPX)は24日、デリバティブ取引を傘下の大阪証券取引所に集約し、同取引所の名称を「大阪取引所」に変更して取引を開始した。これに先立ち日本証券業協会は19日の理事会で、総合取引所創設への布石となる商品デリバティブ取引の導入に向けた取り組みとして、「総合取引所制度等への取組みに関する特別委員会」の設置を承認した。

これは総合取市場に上場される商品先物など商品デリバティブを、公正かつ信頼性を確保しつつ運営するという観点から課題整理や議論を行うもので、日証協の稲野和利会長(=野村アセットマネジメント取締役会議長)を委員長として主要会議体メンバーの会員代表者などから委員を15人程度選任して構成する。

主な検討事項は
・協会員の範囲と自主規制のあり方
・日本投資者保護基金との関係及び日証協として必要な措置
・適用する自主規制規則及び取引ルールに関する提言
・会員カテゴリー及び負担のあり方など協会ガバナンスのあり方
・日証協の加入等審査態勢の整備

で、完全に独自路線で商品デリバティブを扱う意志を示したものといえる。事実、日商協には「この件に関しては何の連絡もない」(守田猛副会長)と完全に無視された状況に他ならず、今後東商取の取引システム絡みなどで商先業界にとってマイナス面の影響が生じないか懸念される。


稲野会長は理事会後の記者会見で、デリバティブ市場を大阪取に一元化するメリットについて「取引システムが統合されること、清算機能や自主規制機能が集約されることにより、市場運営が合理化・効率化されることは疑いない」と見解を述べた。

昨年来着々と土台整備が進み、「新たなデリバティブ商品の上場機会が増えて投資対象商品のレンジが拡大していくことに大いに期待したい」と強気の姿勢も見せている。

ただ、総合取実現の見通しについて、日証協は「総合取引所の実現に向けた道筋は現段階では明らかではない」という実状を吐露している。その上で同時に総合取で行われる商品デリバティブについては「既存の協会員及び協会員と同等の規制が課される業者に対する自主規制は、基本的に本協会が担うことが必要と考えられる」とあくまで日証協が主導権を握る必要性を強調している。

ここから読み取れることは、総合取はやはり金融庁を絡めた主務省庁がウラから金融業界を操作して構築する“官”の建造物であり、取引所を含む“民”の側に主体性はないということだ。やや陰謀論めいた話ではあるが、すべてはシナリオどおりに進み、そこから逃れようがないのであれば、結局商品先物サイドは力のある証券側に太刀打ちできない運命だ。

一方、商品先物の規制緩和については、省令改正として監督指針の見直しが最終的な詰めの段階にある。日商協の臨時総会に経産省から出席した商取引監督課の担当官によると、
・不招請勧誘の見直し
・バイナリーオプション取引への対応
・商先業者に対し手続き上における業務の軽減

が主な調整分野であるという。週内にも全容が公表される見通しだが、「ここで大した変化がないようなら商品先物市場は終わりだ」(大手ネット業者)との指摘もあるが、総合取実現に向けた官側による“商先業界潰し”のシナリオでないことを願うばかりである。

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取引所・業界団体の次年度事業計画・予算まとまる

堂島取、予算は1.7%増の3億8,000万円

大阪堂島商品取引所は12日の理事会で、次年度(平成26)の事業計画及び収支予算案を承認した。市場振興や啓蒙活動を広げるほか新システムの保守料が増額となることから、予算は3億8,000万円と前年比1.7%増とした。

また次年度の定額会費は受託13万5,000円、一般2万1,600円、1枚あたりの予納定率会費は大阪コメ32.4円、東京コメ59.4円、その他商品54円、受託手数料は108円(すべて税込)と決めた。

なお東京コメは商品設計変更に伴い10月限新甫から取引単位が変更されるが、定率会費は据え置きとする。これらは26日の臨時総会に諮る。

また同日は今年度(平成25)の1枚あたり定率会費について、原案どおり大阪コメ31.5円、東京コメ57.75円、その他商品52.5円で確定した。

保護基金、予算規模4億7,100万円

日本商品委託者保護基金は18日の臨時総会で、次年度(平成26)の事業計画及び収支予算案を承認した。

これまでどおり委託者資産保全措置の適切な管理を推進し、代位弁済担保率については、受託会員が契約額の20%以上、取次会員が同35%以上、監査を免除された会員が同30%以上とする。

一般勘定予算は、会費及び手数料収入1億7,500万円など、支出は事業費2億6,200万円、管理費1億7,900万円など全体で4億7,100万円規模を見込んでいる。なお今年度(平成25)の定率会費確定単価は予納と同額の1枚2.85円。

日商協・先物協会、緊縮財政続く

日本商品先物取引協会は20日の臨時総会で、次年度(平成26)の事業計画及び収支予算案を承認した。従来の基本方針に加え、昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画に基づく規制環境の変化に柔軟に対応するとともに、「コンプライアンス体制確立プログラム」の着実な実行を目指す。会員51社をもとに策定した会費必要額の総支出枠は3億5,300万円。

同日は日本商品先物振興協会の臨時総会も行われ、事業計画及び収支予算案を承認した。事業費4,900万円、事務所費5,100万円など支出合計は1億1,200万円を見込んでいる。なお運営準備金を取り崩すことで、年度末の預金残高見込みは2億800万円としている。


なお、東京商品取引所の事業計画は、近日に公表される見通しとなっている。

東商取、7月22日から夜間取引を30分前倒し

欧州との裁定機会増加で大口参加者獲得狙う

東京商品取引所は14日の取締役会で、取引時間拡大の実施を決めた。主務大臣の認可が下りれば取引時間拡大を7月22日、夜間立会からの新甫発会を7月25日以降に発会する新甫限月から実施する。

取引時間拡大は日中立会の終了時刻を15時半から15分前倒しして15時15分とし、夜間立会の開始時刻を17時から30分前倒しして16時半とする。なお夜間立会の注文受付開始時刻も16時45分から30分前倒しされ16時15分となる。

欧州市場の取引時間と重なる時間帯を広げることで裁定取引の機会を拡大し、大口取引参加者の市場参加に繋げる狙いがある。

同日の記者会見で江崎格社長は毎年更新作業を行っている3年間の中期経営計画について、海外プロップの市場参加について市場が活発でないと入ってこないとの認識をもとに「中経で様々な手立てを講ずる」と語った。同時に現在の東商取市場で約3割の出来高シェアをもつ一般投資家についても、市場活性化には重要な存在であるとの見解を示した。


経産農水両主務省が進める商品先物市場の振興策に基づく規制見直しの全容について、近く発表される見通しだ。もともと国策として平成25年度措置の扱いで市場活性化の観点から盛り込まれたものなので、何らかのハードル引き下げは規定路線だろうが、問題はその内容である。

東商取は例年3月の取締役会後に発表していた中期経営計画の見直しを、今回は手控えた。これは規制の見直しが明らかになった上で詳細を詰めるか、または利益目標について取締役会で折り合いがついていないのか、そのあたりが理由だろう。2011年(平成23)3月、東日本大震災直後に打ち出した計画では、今年度の1日平均出来高が20万枚、日本商品清算機構との連結で6億円以上の利益が上がるはずだったが、現実はその真逆にある。

それでも東商取は今年になり積極的に制度の見直しに着手し、海外の大口参加者受け入れの土台を築いている。だが上に記したとおり、市場が賑わっていないとこうした“プロ”は取引を敬遠する。したがって、まずは個人単位での取引参加を促し市場に厚みをつけるという手順は最も堅実なやり方だといえる。

だが現状のルールでは外務員にとってどうにもならない。直近で2月末の登録外務員数は2,251人、このうち実際に勧誘行為に携っているのは「多分3分の1くらい、700人ちょっとだろう」(ベテラン外務員)との推察で大きく外れてはいないだろう。

問題は現在大手業者に属する外務員が商品先物ではなく、CFDや国債など他の金融商品を営業しているという現実である。特に新人にはトラブル回避の観点から損失限定取引であっても商品先物取引の営業をさせず、食い付きのいい金融商品をやらせている。

医療でどれだけ外科医が花形であっても、医学部生が全員外科医を志向し、産婦人科医のなり手が少なかったらどうなるか。実際こうした流れは近年顕著になり問題化しているという。理由は訴訟を巡る産婦人科医の置かれた立場の弱さにあるようだ。これら同カテゴリーの格差を是正すると同時に間口を広げ人を呼び込む改革こそ、効果的な制度の見直しと呼べるはずだ。

東商取、ドバイ商取とエネ分野で協力推進

12日に覚書締結、アジア原油で活性化目指す

東京商品取引所は17日、ドバイ・マーカンタイル取引所(クリストファー・フィックスCEO、以下DME)と原油をはじめとするエネルギー市場の発展推進を目的に、両取引所間の協力関係強化に関する覚書を今月12日に締結したと発表した。

これにより共同マーケティング活動の実施、双方の市場参加者に対する利便性を向上させる新サービス、アジア原油の指標価格提供など様々な分野で協力を模索し、取引の活性化を目指す。

DMEは中東で最大規模の国際的エネルギー先物を扱う商品取引所で、スエズ以東の市場参加者に対し原油の指標価格を提供している。両取引所トップのコメントは以下のとおり。

東商取・江崎格社長「これまでDMEとの間で協力関係の強化に向けた議論を重ねてきた結果、本覚書の締結に至ったことを大変嬉しく思います。東商取では現在、LNGや電力市場等の創設を含む総合エネルギー市場の整備や、エネルギー関連のOTC取引や清算サービスの提供開始に向けた準備に取り組んでいます。私どもは、エネルギー業界のニーズにより良く応えるべく、世界の市場参加者に対して、アクセスしやすく、流動性の高い市場を提供することを目指しています。DMEとの連携は、このような目的を実現する上で重要な役割を担うものであり、エネルギー業界のより一層の発展に貢献するものであると考えています。」

DME・クリストファーCEO「私どもは、アジアの顧客とより緊密な関係を築き、この地域におけるエネルギー取引の価格指標性を高めることに資することを戦略に揚げており、今回東商取と協力関係強化に向けて覚書を締結したことは、その大きな前進です。世界のエネルギー消費を牽引しているのはアジア市場であり、本覚書の締結は、そのアジアに拠点を置く両取引所の発展に寄与するものであると確信しています。今後、双方にとって利益となるよう、市場参加者のリスク管理ニーズにも考慮しつつ、市場の効率性を高め、長期的な成長の機会を捉えるべく、両取引所で協力を進めてまいります。」

先物協会・次年度予算規模1億円強、証券とのパイプ作りに集中投下を

19日の臨時総会に付議、任期満了の役員改選

日本商品先物振興協会は4日の理事会で、2014年度(平成26)の事業計画及び収支予算案をまとめた。

事業計画について市場活性化に向けた取り組みは
・一般投資家への普及啓蒙
・外務員向けセミナーの開催
・銘柄別パンフレットの電子ファイル化

と従来の路線を踏襲し、会員の経営環境改善に向けたものは
・営業活動しやすい規制環境の整備
・コモディティ・リスクの軽減策の検討

と、例年どおりの取り組みを続ける。

予算規模は1億1,200万円で今年度より200万円程度の微増となる。また今年は日本商品先物取引協会同様、任期満了に伴う役員改選の年に当たり、選考委員会の選任を経て5月27日の理事会で候補者を承認後、6月18日の総会で正式に決まる。


国家の経済基盤を支える市場の振興団体が、年間約1億円ですべてを切り盛りしている。だがこのうち協会事務の必要経費などでおよそ半額が削られるため、現実は5,000万円しか事業費用がない。異常な事態である。

大手家電メーカーの日立はジャニーズグループの「嵐」を広告塔に起用しているが、1人1億円かかっているという。嵐は5人だから5億円を投じていることになる。

現在の規模で見ると先物協会の10年分の予算である。もちろん比較しても仕方がないことだが、一般人という不特定多数を対象に啓蒙活動を行う以上、広告にカネがかかるというのは現実として受け止めるしかない。

だが不特定多数ではなく対象を絞れば、少額予算でもかなり密度の濃い広報宣伝活動が可能となる。良い例が先物協会がすでに実践している大学への寄付講座で、学生相手のため直近の実入りにはほとんど貢献しないが、講議に乗せてかなり詳細な説明も行える。投資クラブなどを対象にした講師派遣も同様といえる。

しかし当たり前だが、こうした取り組みは対象者数が極めて限定的であり、線香花火がパチパチッとあちこちで燃えては消えるような繰り返しで、次々に誘爆現象が起こり一大ブームに至るという推移は期待できない。

大規模なセミナーを開いても、一発夜空に打ち上げ花火を上げるようなもので、とにかく後が続かないというのは商先業界共通の悩みだろう。

不特定多数の投資家予備軍に訴えかけるには多額の事業費が必要で、少数を対象にした密度の濃い啓蒙活動はなかなか広がっていかない。それならいっそ寄付講座などは残しつつも、少ない資金を他業種へのアピールに注力したらどうか。

他業種というのは、具体的に証券業界のことである。主務省間、取引所間では折に触れて情報交換などを名目に「商品—証券」の繋がりを図っているが、業界団体間はほぼ断絶状態にあると聞く。主務省関係者によると、日本証券業協会の根強い商先アレルギーが続いているからで、実質的に古参の大手証券が牛耳る日証協の発言は証券取に及ぼす圧力も大きく、商先業界における団体の影響力よりはるかに強いという。

こうした抵抗を和らげ、対等なパイプラインを構築するのに、5,000万円あれば結構いろいろできるのではないだろうか。

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