2012年09月先 物 新 報

先 物 新 報

商品先物業界の専門紙記者が、業界ニュースを中心に関連情報をお届けします。
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時迫る農産物市場移管、懸念される東穀カラーの消失

新農産物市場にも、東穀が積上げた歴史と文化の香りを

日本商品先物振興協会の岡地和道会長は20日、理事会後の記者会見で農水・経産両主務省が不招請勧誘禁止のハードルを一部分見直す方針を示したことについて、全面解禁を訴えてきたので限定的であることは残念だとしながらも「方向性が変わったことは大きな一歩だ」との見解を述べた。

これは商先業者が自社で外国為替証拠金取引(FX)や日経225等の証拠金取引(ハイリスク商品)を行っている顧客について、商品先物取引についても勧誘を認めるよう商品先物取引法の省令部分を差し換えるというもの。

過去の顧客についての扱い等調整すべき点は多いが、ひとまず流動性向上の一助にはなりそうだ。また新旧経営陣の対立が表面化したエース交易の問題についての感想を求める質問に対して、岡地会長が他社のことだからと口を濁した上で「なるべく早く円満な解決に至るよう望んでいる」と語った。

続けて車田直昭副会長が「我々の業界は同業者が減ったら喜ぶという種類の業種ではなく、むしろマイナスだ」と述べ、流動性向上には商先業者の増加が必要との考えを示した。


車田氏は前述に続けて「業界紙の皆さんは同業者がつぶれたらボーナスが出るでしょう」とちょっと余計な言葉も発した。

これに対し「我々だって仲間が減ると厳しい」とあるベテランの記者が言い返した。それはそうである。厳しいというより寂しいというのが実情だ。毎年一定額の予算がおりてそれを取合いする官庁のような体制なら同業がオリたら旨味はあるが、実際は単純にその一媒体が消失するだけで終わる。積上げてきた歴史が雲散霧消する。

もっともこうした状況は商先業者も一緒である。業者が廃業する際建玉は他社にトランスファーされる仕組みになっているが、大口の個人顧客は疾うに複数の業者で口座を開いており、移管先の出来高向上に寄与する割合はそれほど多いといえないのが実状だ。

廃業した業者の外務員も優秀な成績を残しているなら引く手はあるだろうが、新天地でもその能力を生かせるかどうかは社風に依存する部分も大きい。同業者であっても社の気質は様々あり、ひとつの業種に焦点を定めた場合、選択肢の多さはプラスにこそなれマイナスに作用する点はほとんどない。

これが仮に大手5〜6社しか商先業者がなくなってしまったら、外務員の選別化は著しく図られるが、その能力が先鋭化されエリート集団が形成されることはまずないと言っていい。

やはりどんな巨大企業や官庁にも例外なくみられるように一部の有能社員、多数の並みの社員、残りの不出来な社員と自然にカテゴライズされ、結局は廃業した社数分だけ営業ノウハウ等の蓄財が純減するに過ぎない。上記リード文で紹介した車田氏のコメントは、ネット業者と対面業者の棲み分けという意味合いも含んで発せられたものだが、この軸を取り払って大局的にみても業界の共感を得るだろう。

上記の“社風”という観点で農産物市場の移管を考えると、舞台を近所の東工取に住所変更したという簡単な手続きで話が済むような問題とはいえまい。

そもそも東工取と東穀取では雰囲気がまるで異なる。ここでいう雰囲気とは工業品と農産物という単なる取扱い商品による市場ルールの差異ではなく、海外の大口ファンドを視野に入れるか国内の当業者団体の参加を狙うかという営業戦略の相違レベルの話でもない。取引所を形成する個々の社員もしくは社員同士を結ぶ要素諸々の連結部分から滲み出る思想、距離感等、集団そのものの独自カラーを指す。

これが現状において両取引所間であまりに開きを感じさせることが、農産物市場の未来における一点の懸念材料といえる。

東穀取が来年2月に農産物市場を移管するに当たり、当然綿密な引継ぎが行われ、社員の受入れも含め万全の体制で12日の当日を迎えるだろう。もちろん瑕瑾のない市場設計と信頼できるシステムの設置が必要なのはいうまでもないが、農産物市場から東穀カラーが寸分残らず一掃されてしまえば、文化財が焼き尽くされた京都の街並同様ゼロからの復興に等しい。

東工取は市場移管につき東穀取から片手に収まる人数の社員を受入れる方針だが、果たしてそれだけの数で従来の東穀カラーが出せるだろうか。東穀取の積上げてきた歴史を思うと、その蓄財の純減をみるには余りに惜しい。

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3省庁合同で総合取の意見交換会

各政務官が参加、意見交換会でアジア他国の税制など紹介

金融庁及び農水・経産両省は26日、「総合的な取引所」に係る関係者意見交換会を開催した。

国内主要6取引所の社長もしくは理事長に加え、日本商品先物振興協会や日本証券業協会のトップも参加した。
3省庁からは各政務官に加え、金融担当副大臣も参加し冒頭で挨拶した。

記者は3省庁の政務官による挨拶までの取材に制限され、意見交換会は非公開で行われた。
だが金融担当副大臣などが終了後の取材に応じ、アジア他国の税制が紹介され意見交換が活発に交わされたことなどを明かした。

次回の開催は現在のところ予定されていない。

東工取、主務省に農産物市場の開設を申請

東京工業品取引所は21日、農水・経産両主務省に「農産物・砂糖市場」の開設を申請した。3カ月の公示期間を経て来年1月中旬頃認可される見通し。取引開始は2月12日を予定している。

先物協会、個人投資家向けに商品先物入門書を制作へ

ダイヤモンド社「ZAiシリーズ」から来年2月に発売

日本商品先物振興協会は20日の理事会で、商品先物取引の入門書籍を制作し出版することを承認した。ダイヤモンド社発行の投資家向け入門シリーズ「ZAiが作った×××」の1冊として出版する。

個人ライター名義にせず同社編集部と協会事務局の共著扱いとする方針。150ページから200ページ程度のボリュームで、来年2月発売で初版は2万部を予定している。コンテンツは事務局、広報戦略検討小委員会委員長、出版社で協議し過去の関連書籍、出版物をベースに案をまとめ小委員会に諮り決める。

来月上旬にも編集打合せの上構成を決め、中旬に本文やレイアウトの作成を開始し年内に入稿、来年2月上旬に印刷を終え書店販売開始の流れを辿る。産構審で「商品先物を紹介する書籍がほとんど見当たらない」との意見が委員から上がり、検討を進めていた。

また同日は協会が始めたCX講師宅配便に関して、日本個人投資家協会や横浜の投資家団体からオファーが来ている状況を明らかにした。事務局では講師の宅配を随時募集している。

金商法と商先法の国境線、EEZにみる主権適用の意義

関西取の存在が商先法下の体制に大きな影響を

改正金融商品取引法が成立し、今後合併方式における総合取引所が創設された場合は、商品先物取引においても業者の許認可、検査、規制、監督等をすべて金融庁所管で取仕切る流れができあがった。

東穀取が東工取に市場を譲って店仕舞いをし、東工取は「東京商品取引所」と商号を変更するが、「近い将来日本取引所グループが吸収する」という青写真を金融庁は描いているはずだ。

東工取は江崎格社長が常日頃から言う「何事も企業価値の向上に資するかどうか」を行動の判断基準としているが、合併方式による総合取ではホールディングス制度のぶら下がり形式ではなく、日本取引所グループが東工取を丸々飲み込む形となり、企業としては完全に解体されてしまうために前記の基準を適用して考えても意味を成さない。

東証と大証の合併においても現状規模の面から必然的に東証サイドが主導権を握る事態は避けられず、合併後にデリバティブが一段下に据え置かれることは現時点でも想像に難くない。「現株あっての総合取」という企業理念が固まってしまえば、デリバティブの活性化に大きな障壁が聳える。

このような状況下でコモディティを献上したところで、金は下位打順で出場機会を得られるだろうが、白金はベンチ入りがやっと、石油製品は2軍での調整、小豆や粗糖は戦力外通告を受けるような扱いになるかも知れない。

こうした懸念を持つ業界関係者も少なくないが、東工取が総合取の流れに慎重である姿勢について「主務省の意向だ」とする声も聞かれる。3省庁で進める商品先物活性化協議会が間もなく動き出す見通しだが、これについても「実務者を入れないなら既得権益の調整が行われるだけだ」と悲観的な見方もある。

ともに真偽は不明だが、少なくとも今回の法改正において縦割り行政解消の道筋が立ったことは大きな進歩と言っていいだろう。ここでいう縦割りとは俗にいう“省益”のことで、これは監督法の影響下を拡大させることに他ならず、その意味ではこれも一種の領土問題と呼べる。

商先法と金商法、言い換えれば農水・経産両省と金融庁のせめぎ合いは一旦決着がついた形だが、あとは協議会によって無理のない形で国境線が引かれ、適切な運用がなされることを期待したい。


日本の国土の総面積は約38万平方キロメートルで、世界192カ国中61番目の大きさである。

だが周りの海も領海として、かつ領土の上に位置する領空も国の主権が及ぶ地域となる。領海は沿岸から12海里(約22.2キロメートル)までと定義されており、領海の外側に排他的経済水域(EEZ)を沿岸から200海里(約3702キロメートル)までの範囲内で設定できる。

ちなみにEEZでは、海底に眠る資源を調査し開発する権利、海水中に浮遊する資源等を利用する権利、漁業管轄権—という3つの権益が認められている。中国が尖閣諸島を強奪しようとするのも、この権益によるものだ。

EEZを含めて計算すると、日本の面積は447万平方キロメートルと途端に巨大化し世界6位にまで跳ね上がる。これは太平洋側に伊豆諸島、小笠原諸島、硫黄列島と群島が広範囲に位置し、さらには絶海の孤島として南鳥島と沖ノ鳥島が点在している地形の利が大きい。

特に後者の沖ノ鳥島は北小島と東小島と呼ばれる2つの島から構成されているが、広さは合せても畳6畳分しかなく、高潮時には北小島が16センチメートル、東小島が6センチメートルだけ水面上に顔を出す極々小さな島である。

中国はこれを「島ではなく岩だ」と主張しており、EEZの無効を訴えている。だが国連海洋法条約では自然に形成された陸地かつ高潮時でも水面上にあるとの条件を満たせば、島と定義している。

関西取の収支形態をみて「取引所ではなく不動産屋だ」と揶揄する声が上がる。

一般投資家の参加もなく値付け売買しか行われない上場商品があり、市場の機能を疑問視する声がある。だが商取法(現商先法)の下で形成された公設市場であり、立会時間中の売買がピン(1枚)でも成立していれば、高潮時にギリギリ沈まない陸地同様何とか商品取引所として存在し、そこには商先法(農水・経産)主権によるEEZが適用される。

金商法(金融庁)の影響が及ばないこの水域には、保護基金やJCCHなどの業界団体が存在し、農水省や経産省の担当部署も従来と変わらぬ形態を維持し続ける。

本土と呼べる日本取引所グループからいかに距離があろうと、関西取が商品取引所として主権を発する影響は、決して小さなものではないとわかる。

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