2012年01月先 物 新 報

先 物 新 報

商品先物業界の専門紙記者が、業界ニュースを中心に関連情報をお届けします。
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東穀取解散報道で揺らぐ農産物先物の未来(上)

2012年度中との解散報道に十分な現実性が

東京穀物商品取引所が経営悪化に伴い2012年度中に解散する方向で調整に入ったと、27日に時事通信社が報じた。それによると同日臨時で幹部会を開催し、単独経営は難しいとの判断に至ったとされる。

現在弊紙ではウラが取れておらず、推測で記事を書き進めるほかはないが、東穀取を取り巻く環境を考えると十分に現実的な話である。まず東穀取の解散報道はこれが初めてではなく、2010年10月22日にも同様の報道があった。

弊紙でも当時記事にまとめたが、内容は同年9月1日に東穀取が東工取に合併を申し入れたが断られ、その代わりに農産物市場の引き継ぎは可能と回答したもので、東穀取はこれを受け10月19日の取締役会で解散に向けての協議を開始したというもの。

結局その翌年にコメ先物の試験上場が認可され、東穀取経営陣とその主務省である農林水産省が単独経営に欲を出して東工取とまとまりかけていた市場移管の話を一方的に破棄したことで、解散話は一応収束をみせていた。
単独経営にこだわったのは、天下りポスト(東穀取経営陣の社長、専務どちらも農水省出身)という省益維持のためである。具体的にいえば農産物市場の移管により東工取に主導権を持たれ、東工取の主務省である経済産業省に人事の実権を握られることを嫌っての行いであり、業界の発展を考えての施策ではない。

だが東穀取にとって誤算だったのが、昨年8月に取引を開始したコメ先物市場がさっぱり盛り上がっておらず、出来高目標を大きく下回る事態になっていること。取引所の収入源はそのほとんどが出来高1枚ごとに商品先物業者から支払われる定率参加料であり、出来高の低迷は即経営悪化に直結する。

東穀取はコメ先物について当初1日あたり5000枚の出来高を目標としており、上場後しばらくすれば同1万枚くらい見込めるだろうと踏んでいた。だが蓋を開けてみれば閑古鳥が鳴いている状態で、直近の昨年12月は月間21営業日で約1万7000枚となり、1日平均ではわずか800枚ほどで到底5000枚には届かない。

業界内ではこうした状況を踏まえ、東穀取の経営破綻は時間の問題と捉える向きが多かった。
商品先物市場は2003年に最も隆盛を極め出来高も7取引所(当時)で年間1億5000万枚を超えていた。その後2005年に改正法の施行で営業の行為規制が大幅に強化されたことで、年々市場は低迷の一途を辿り、昨年2011年は3取引所で年間3400万枚と5分の1以下に縮小している。しかもこのうち東工取が3100万枚と90%以上を占めており、東穀取はわずか年間260万枚程度に過ぎない。
一方、03年当時は年間4200万枚以上の出来高があり、この年と比べると収益が約85%減でこれで経営危機に陥らない方がおかしい。

東穀取とその裏で手を引く農水省は、一か八かコメ先物に自らの省益を託したが、資金ショートを目前にとうとう両手を上げざるを得なくなったというのが実情だ。(続く)

(下)は近日更新します。

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商品先物監督権限、金融庁移管で生じる業者の悩み

高まる業務維持ハードルに不安の声が

農水・経済両省及び金融庁の3省庁が、それぞれの副大臣を交えた会合を開き商品先物取引を含む金融行政の監督権限を金融庁に一元化することで基本合意した件について、商品先物業界では不安の声が高まっている。

関係者が何より気にしている点が、総合取引所の流れが金融庁主導で進められ仮に今後清算機関が一元化された場合、清算参加者資格が証券基準並みに引き上げられ現在の業務形態が維持できなくなるのではないかということ。

現在金融庁が管轄する証券側の方が商品よりもハードルが高く、証券基準に照らした場合に有資格者となる商品先物業者は4~5社程度といわれている。

商品先物市場の発展を第一に考えた場合、大手の証券会社が商品先物を取り扱えば参加(見込み)客の絶対数が飛躍的に向上するためマイナス面ばかりとはいえず、また規模の小さな業者の淘汰はある程度やむを得ない部分はあるが、問題は証券会社が商品先物の取り扱いに極めて消極的になっていることである。

管轄官庁の違いによる手続きの煩雑さやシステム準備に多額の資金が必要となる点など理由はいくつかあるが、いずれにしても商品先物市場の低迷により証券会社にとって収益見込みが望めないことが最も大きい。

さらに金融庁に監督権限を完全移管すれば上記のような業者サイドの悩みもある程度解決するが、今後も主要商品に限り農水・経産両省の管轄という現行体制の継続も検討する方向であり、どうにも総合取引所の完成図が見えてこない。

国内の商品先物取引は2003年(平成15)をピークにその規模は年々縮小傾向にあり、現在は市場機能の維持が懸念される水準にまで危機感が高まっている。商品先物からみた総合取引所のメリットとしては、株や外国為替証拠金取引(FX)を取引する一般投資家を労せず参加見込み客にできるという点だが、今後は証券サイドの業者にも視点を置いた改革を実行しないと、商品先物の流動性向上は極めて困難だろう。

とにかく2010年(平成22)12月に3省庁が総合的な取引所検討チームの中間整理をまとめて以来、ようやく総合取設立についての動きが具体化した。中間整理では2013年(同25)の実現を目指して関連法案を2012年(同24)通常国会に提出できるよう、準備を可及的速やかに進めるとの方針で臨んできたが、昨年3月の東日本大震災発生によりスケジュールが大幅に遅れる結果となった。

中間整理では3省庁で見解が分かれた5項目の論点について、遅くても2011年(同23)6月までに関係者で意見交換する場を設けて方針を固める予定だったが、結局こうした場も開かれることなく総合取の枠組み作りを急ぐやり方が取られた。5項目の論点は

・取引所について
・清算機関について
・規制・監督について
・税制について
・更なる規制改革

で、中間整理では3省庁で分かれた意見を「A案」「B案」として省益に沿った形で双方の意見とも検討の余地を残すという苦しい手法でまとめあげたもので、2月に開催される産構審では特に規制・監督の部分について集中的に議論が行われる見通しだ。

だが最も重視すべきことはいかに「使いやすい市場」を作るかという一点である。例えば顧客側は1つの口座であらゆる取引が可能であること、業者側は各規制官庁への膨大な手続きを解消することなどについて具体案を模索していくべきであろう。

産構審商取分科会、2月に開催へ

市場復興や規制一元化を議論

産業構造審議会商品取引所分科会が2月に開催されることが、関係者への取材で分かった。議題は

・商品市場の活性化への方策
・総合取引所の規制監督のあり方

で、2月上旬の開催後5月まで4回の開催を予定している。

座長は尾崎安央早大大学院教授で、現在メンバーの調整にあたっている段階。

低迷する商品先物市場の復興策を議論するほか、総合取引所の発足で規制監督を金融庁へ一元化する流れに対し識者の意見を汲み上げる。

総合取引所に関する商品先物業者アンケート

振興協会集計、懸念事項が鮮明に

日本商品先物振興協会は20日、理事会後の記者会見で総合取引所に関する会員アンケートの集計結果を公表した。
総合取に関する調査は昨年4月以来2度目で、前回調査では選択方式の形を取り集計したが、賛成意見が7割ほどを占めていた。

今回は選択式でなく記述式の調査とし、会員29社中21社が回答した。その結果を踏まえ協会で意見を各カテゴリーにまとめて公表したが、前回と比較して単なる賛成意見はあまりみられず、業者規制の強化や資金面での負担増に関する具体的な懸念事項が浮き彫りになった。

アンケート結果は以下のとおり。

業者規制に関する意見
(1)財務規制に関する意見
・財務規制の強化(自己資本規制比率の適用)を懸念、現状維持を希望【同趣旨7社】
・財務規制強化が不可避なら十分な猶予期間を設けてほしい【同趣旨5社】
(2)勧誘規制に関する意見
・勧誘規制の緩和を希望【同趣旨5社】
・更なる規制強化を懸念(商先法の現行規制を維持)【同趣旨2社】
(3)システムコストの増大を懸念【同趣旨2社】
(4)厳しい規制の統一を懸念【同趣旨3社】
(5)一定の経過措置を設けたうえで、業者規制の一元化は必要【同趣旨3社】
(6)その他

顧客資産の分別保管の一元化に関する意見
(1)信託保全等による業者の立替負担増を懸念、現行の分離保管制度の存続を希望【同趣旨13社】
(2)早期の一元化を希望【同趣旨2社】
(3)その他

クリアリングの一元化に関する意見
(1)日本商品清算機構(JCCH)方式を希望【同趣旨12社】
(2)証券クリアリング方式とJCCH方式の双方の長所を併せ持った清算機関が望ましい【同趣旨2社】
(3)十分な移行期間が必要【同趣旨2社】
(4)対応コスト増を懸念【同趣旨2社】
(5)その他

その他
(1)総合取引所に対する懸念(商品市場の更なる流動性低下、商先業者の市場撤退等)【同趣旨14社】
(2)総合取引所創設に前向きな意見【同趣旨6社】
(3)既存上場商品全般の活性化を望む意見【同趣旨4社】

東工取システム延長表明も、無駄になった100億円

消去法的決断、老朽化するシステムでの市場復興は

東京工業品取引所は17日の取締役会で、次期取引システムについて現行のナスダックOMX社製システムを契約延長して使用することを決めた。現行システムは2009年(平成21)5月に導入し、ライセンス契約の切れる2014年(同26)5月まで総額約100億円をかけて運用される見通しだが、その後のシステム対応について東工取は昨年後半から検討を始め年内に所内で方針を取りまとめるとしていた。

OMXとの契約は今回と同じ5年契約だが、金額などの詳細は守秘義務で公表できないという。

だが「初期投資に当る部分は抑えられても運転経費は若干安くなる程度だろう」(江崎社長)との見解に沿えば、初期費用31億4900万円は抑えられても、5年間の運転費用56億3800万円、夜間取引導入に際し年間2億2000万円の上乗せ分、その他更新費用などはそれほどディスカウントされずに、今後も継続的に発生する見通しとなる。

もともと東工取は他取引所とのシステム一本化案を排除せず、特に大証とは経営統合に向けた話し合いも行っていた。東証と大証が合併を発表した際も新取引所のシステム対応を見定め、1月までにはっきりしないようなら独自で運用するという姿勢を明確に打出していた。

結果的にタイムリミットが迫り、現状維持が最も無難という流れに沿って継続使用の方針を決めた。だが導入時の目的だった海外勢の参加が思うように進まなかった現行システムは、この先老朽化する一方となる。ライセンス期限は2014年まで残っているとはいえ、急に出来高が増える見込みもない

100億円かけた(当時の)最新システムは、結局東工取、ひいては参加業者に重い負担をかけただけで終わりそうだ。

ただ、システム延長で5年の再契約とはいえ、契約期間内であっても状況次第で動きの取れるような体制にはしておく方針であり、再契約後でも任期満了を待たずに何らかの手を打ってくる可能性は高い。

いずれにしろ、年々細っていく商品最物市場で、直近の数年間を現行体制のままどう市場活性化に繋げるか、難しい舵取りを迫られていることは確実である。

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