2010年11月先 物 新 報

先 物 新 報

商品先物業界の専門紙記者が、業界ニュースを中心に関連情報をお届けします。
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総合取検討チーム第3回会合(11月19日)議事要旨

-政府関係出席者-
金融庁:東祥三副大臣、和田隆志大臣政務官
農林水産省:筒井信隆副大臣、田名部匡代大臣政務官
経済産業省:松下忠洋副大臣

-オブザーバー出席者-
日本証券業協会:増井喜一郎副会長
全国銀行協会:三島裕史市場国際委員長代理
FIAジャパン:茂木八洲男バイスプレジデント
AIMA JAPAN:白木信一郎副会長
国際銀行協会:藤本隆章ディレクター
日本商品先物振興協会:加藤雅一会長
日本商品清算機構:高橋英樹社長
住友商事:高井裕之理事
JX日鉱日石エネルギー:佐藤宏之部長
ホクレン農業協同組合連合会:安永義克部長
カーギルジャパン:佐藤広宣部長
弁護士:石戸谷豊氏

【関係業界代表の主な発言要旨】

(現状及び問題点)
・最近ではコモディティーのETF(上場投資信託)が登場し、世界では取引所のグローバルな再編が起こっており、商品、証券の垣根はなくなりつつある。
・機関投資家は商品投資を増やしているが、シンガポール、香港といったスピード感のある市場と比較して日本は後手に回っており、日本に呼び込めていない。
・国際競争力をもった総合取引所を実現するには、多様なプレーヤーが参加し、流動性が高く、取引コストの低い市場の実現が不可欠。
・多様な投資資金を吸収し、アジアのリーディングマーケットとなることが必要であり、その中で商品市場が産業インフラとして発展し、そこでの価格がアジアの現物取引の指標となることが必要。
・清算機関にとっては、信用力の強化、利便性及び効率性の向上、投資家の安全の確保が重要。利便性向上は、清算機関のアウトハウス化によって複数の取引所の清算を行うことは一歩前進だが商品分野に止まっている。取引所の総合化とクリアリング強化は大きく関連し避けて通れない。機能論アプローチではクリアリング強化が重要論点。
・現状の阻害要因は縦割り行政、旧態依然の法規制環境と魅力のない高コスト市場。

(具体的な施策など)
・取引所の統合は、取引所の経営判断にまかせるべきで、第3者が介入すべきでない。一方、清算機関は統合により、より強い方が望ましい。
・日本の取引所は証券取引所が5、それら取引所による新興市場が5、プロ向け証券取引所が1、金融先物取引所が1、商品取引所が4あるが、競争を通じて淘汰・統合されることが必要。
・クリアリング機関の一元化により、1つの証拠金で多様な取引を行うワンストップ取引の実現が必要。
・総合取引所のメリットとしては、システム共通化、証拠金制度の横断化が重要で、国内外の競争が働きやすい環境整備が重要であり、競争を通じて優れたサービスに淘汰・統合されていく。
・単なる取引所の統合ではなく、投資しやすいインフラの整備が重要。
・海外と異なり日本では金融所得課税が単一でなく損益通算ができない。これが横断的取引の障害となっている。システムも統合されておらず、この解消が必要。
・税制一元化やネッティング(複数の取引の債権・債務を相殺し差額分を決済すること)など商品と金融を同様に扱えるようにすることが重要。
・総合取引所化によって経営基盤が強化されエンドユーザーの利便性が高まることが重要であるが、取引所の器だけでなく、商品の魅力が高まること、そのために規制、税、言語等の環境整備を行うことが重要。
・米国でも先物市場はCFTC(商品先物取引委員会)と現物株式市場はSEC(証券取引委員会)に分かれており、短期間に単一規制機関の創設が困難で、現物とデリバティブを分けるのであれば両者の規制を整合、合理化するために「統合規制委員会」といった機関が必要。
・海外の投資運用会社の呼び込みと国内の投資運用会社の強化が必要。
・統一された規制と税制、国内外取引参加者の要望への対応、英語によるディスクロージャーの整備が必要。
・多様な投資資金・ヘッジ資金を呼び込むためには、その担い手である取引業者の横断的な市場参入が必要で、規制・監督機関の一元化が不可欠。
・規制の一元化に際しては、財務規律強化による商品取引員の廃業によって流動性を低下させないよう、財務規制については経過措置を置く等の激変緩和措置が必要。
・日本の金融市場の発展のため、シンガポールのように東京金融センター(事務局)を設立し、マーケットのプロモーションが必要。
・カリフォルニア州退職年金基金は約2000 億円を投資顧問会社に商品分野で運用させているが、国内でも投資顧問会社経由で商品運用があるものの、その運用先は日本国内ではなく、外国に向かっており、投資運用会社が運用できるような環境をつくるべき。

【取引所の利用者代表等からの主な発言要旨】

(現状及び問題点)
・これまで取引所間の再編が進まず今に至っている。現状のままでは、韓国、中国、シンガポールに負けてしまい、崖っぷちに来ている。
・国内では流動性が低いため、現物と先物の価格が乖離することが多く、大量の取引を吸収できない。
・東工取の存在意義は、公設市場であり、実際の現物取引価格が先物価格と連動するようになっていること。価格形成機能が非常に重要。
・小豆は年1度の収穫であるが、販売は年間を通じて行う必要。消費者に届くまでには商人系の産地問屋、和菓子メーカー等様々な業者を経由。このため、先物市場を利用して市況変動の価格ヘッジ、現物受渡し、在庫の調整や仕入れを行いながら現物を流通。
・小豆の年間消費量は8万トンであるが取引所の取組高は1万トン程度なのでその拡大を希望。
・日本に商品市場が必要であることが根本問題であるが、商品市場の出来高が減少し、流動性が乏しく本来の機能を発揮しづらくなっており、その機能を発揮させるのに役立つのであれば総合取引所に賛成。
・清算機構も一本化すべきだが、欧米では反対の動きもあるので、それをみた上でよく検討すべき。米国ではドッド・フランク法が可決され、今後は、店頭取引も全て清算機関の対象となるが、日本に大きな清算機関がなければ海外の清算機関に取られる。1つか2つに集約しないと国際競争に負ける。
・金商法のFX取引は、5年で口座が10倍に激増し、電話、訪問による勧誘がないためトラブルも少なく評価しているが、取引所取引に対する不招請勧誘禁止がない。一方、商品デリバティブでは取引所取引も含め全面的に不招請勧誘禁止となる。

(具体的な施策など)
・石油の現物市場は卸売りのプロ市場、先物市場はプロと一般が参加する市場であり、東工取の活性化と流動性を高める方策を検討してほしい。
・商品取引所が株式会社化したことが総合化の足かせ。法律を改正し、資金を投入するなど、政治的判断がなければ競争力のある市場にはできない。
・国内取引所が赤字の原因は巨大なシステムコスト。投資家の観点から、法律の整備、税制の一本化、更にクリアリングハウスの一本化による信頼性向上が最も大切。
・総合取引所が成功する条件は5点。①投資家ニーズに合致した魅力ある上場商品、②外国の顧客などグローバルなプレーヤーへの対応、③低いコストで取引ができる超高速のマッチングシステム、④リーマンショックにも耐えられる財務基盤がある清算機関、⑤国際基準のルールの整備。
・取引所という玄関は複数でも良いが、台所(ルール、税制、清算機関)は使いやすいものに一本化すべき。取引所は現物株とデリバティブでは異なるので2つが丁度良い。
・ここ10年で取引所はシステム産業化しているが、国内には膨大なシステム投資に耐えられる取引所はなく、1つか、2つに大きな取引所に統合再編すべき。その際、ルールと税制の一本化が必要。
・効率的な市場の視点から、3つの点が重要。①隙間のない一元的な規制、チャネルを実現するために二重規制を排除し、one stop shopping を可能にする必要。仲介業者が3つの役所に報告、申請を行うことが参入意欲を削いでいるので、規制・監督の一元化、2つの法律の統合を目指すべき。②取引システムを統一し、財務基盤の強固なクリアリングを実現すべき(1つに統合することが望ましい)。併せて清算参加者の財務基盤の強化も必要。③株と商品の損益通算により中立的・一体的税制を実現すべき。
・隙間のない一元的なルールができ質の高いものであれば安心して参加できる。総合取引所と平行して金融サービス法の取組みが必要。金融分野と商品デリバティブでは規制ルールの内容が別々に分かれており、例えば不招請勧誘禁止と適合性原則のルールが異なる。
・商品と金融商品を整合したルールが必要。しかし、低い方に揃えることは認められず、高い方に揃えるべき。
・取引所が1つになることで、国内の取引所間の競争が無くなることを懸念する声があるが、今は経営体力を強化し、海外との競争を考えるべき段階。各省庁のスペシャリストと仲介業者、当業者等からなるワーキンググループを立ち上げ、早急な対応策の検討が必要。アジアの物流は拡大しており、この1年、2年が勝負。

【自由討議】

我が国の商品取引に投資が行われない理由は何か。
・銀行における商品への投資の取引の多寡は、顧客ニーズによるものであり、規制そのものが原因ではない。
・近年、我が国の機関投資家、個人投資家等は商品投資を増やしているが、投資信託のかたちを経由して、海外の取引所で取引を行っている商品投資顧問業者への委託となっているのが現状。

米国シカゴ・マーカンタイル取引所等は様々な商品を上場しているが、物資所管省庁の介入はあるのか。
・金融商品については割と制度設計は自由だが、農産物やエネルギー商品は、米国の規制監督当局が取引所と、かなりの時間をかけて対話を行っている。なお、規制監督当局はCFTCであり、議会の農業委員会の監視も受けている。

総合取引所に関する商品取引業界アンケートの結果はどのようなものだったか。
・総合取引所構想を推進して欲しいという意見が6割強、法律を一体化して欲しいという意見が7割程度であった。

商品取引所は日本に必要か。日本の市場で価格がつくられるメリット、海外で価格がつくられるデメリットはあるか。
・取引の電子化が進み、どの国の取引所でも取引可能だが、アウェイでなくホームでヘッジ等の活動をしたい。国外は規制・運営リスクがある。商品は、品質、スペックが日本で設計された日本の市場で取引がしたい。
・穀物の輸入・販売は品質変化があり、量もかさばるので現物がいつどれくらいあるかで決まり、同じとうもろこしでも東京とシカゴの取引所では異なるので、この点は海外ではなく、日本の取引所で取引をする意味がある。

統合化・一元化といっても、ルール、税、証拠金、口座、規制・監督機関について、それぞれの概念をどう整理すべきか。
・ソフト面とハード面(取引所)の統合を分けて考えるべきで、規制ルール、証拠金、税制、クリアリングのソフト面は極力一つにすべき。例えば、大証で金のETFをやり、それを東工取の金先物でヘッジしても同じ金にもかかわらず税の損益通算ができないのは問題。

総合的な取引所を考えた場合、農産物は他の商品と比較してどのような点が異なるか。
・農産物市場の独自性は、価格ヘッジだけでなく、現物受渡しの機能があること。
・穀物は年一作で価格変動が激しい。外国では1年以上先の商品もあり、農家は先物市況をみてその年の栽培面積を決めている。食料貿易の自由化により商品市場の重要性は高まっている。

適合性の原則の適用について、金融商品と商品先物でどのような問題があるのか。
・適合性原則では、商品先物は行政の指針であるガイドラインがあり、数多くの行政処分を積み重ねてきているが、金融商品は、ガイドラインもなく、行政処分も平成16年の1件しかないため、裁判所が紛争解決の際に事後的に適合性原則を判断している状況。金融商品についてもガイドラインの整備等を進めることが必要。

※以上、経産省のホームページから引用。なお、開催日時は11月19日の15時から16時35分で、場所は農水省7階。

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《速報》金融取、台湾株価指数CFDを上場延期

ライセンス手続き間に合わず

東京金融取引所は12月13日に予定していた「FTSE TWSE台湾50証拠金取引」の上場を延期すると発表した。ライセンサーの1社である台湾証券取引所における所要の手続きが間に合わず、当分の間上場を延期すると発表した。

同商品は22日に上場したばかりの証券CFD「くりっく株365」におけるアジア圏の株価指数を対象としたもので、台湾証券取引所に上場する株式銘柄のうち、時価総額の上位50銘柄で構成された株価指数のこと。台湾を代表する株価指数「台湾加権指数」との相関性が非常に高いと言われている。

なお13日には香港証券取引所の時価総額及び流動性が最も高い中国株式25銘柄で構成された株価指数「FTSE 中国25」を対象とするCFDも上場される予定。

外為どっとコムに500万円の過怠金処分

金先取引業協会、レートの誤配信再発で

外国為替証拠金取引(FX)など金融先物の自主規制機関である金融先物取引業協会は25日、店頭FX最大手の外為どっとコムに対し500万円の過怠金を科した。

金先協会の発表によると、同社は今年7月13日午前6時45分頃にユーロ・円の取引で市場実勢と大幅に乖離したレートを配信したとして、当局からの指摘で再発防止策を検討していた最中、9月6日午後3時34分から42分にかけ米ドル・円、ユーロ・円について再度市場実勢から乖離したレートを配信し、多数の顧客取引に影響を与えたことが認められた。

このため金融商品取引法に違反するとして、今回の処分を下したほか、法令、諸規則の遵守及び内部管理体制の充実、強化を徹底するよう勧告した。

このままではトラブル続出か、新たな証拠金制度導入目前・下

業者の立替えリスク回避論が先行、SPANのメリット活かす議論なし

(前回からの続き)
日本商品清算機構(JCCH)が来年1月から導入するSPAN証拠金システムをベースとした新証拠金システムについて、関係者からは一般投資家への啓蒙が進まないと導入後に大きなトラブルが発生する可能性があると指摘されている。現行の証拠金制度では証拠金が目減りし、取引所が毎月設定する本証拠金基準額(例:東京工業品取引所の11月における金標準取引は1枚あたり10万5000円)について半額を下回ると追証拠金が発生し、これを一般投資家が入金しないと、建玉は強制手じまいとなる。

これは見方によっては、投資家の預け入れた証拠金が本証拠金基準額の半額(上記の金の場合は5万2500円)を下回らない額にならない限りは、投資家にとっても商品先物会社にとっても互いに追加の資金は発生しない。もし本証拠金基準額を下回った際には、投資家にとっては追証、商品先物会社にとってはJCCHへの立替えが発生する(JCCHは投資家と直接取引はできず、すべて商品先物会社がJCCHとの窓口となる)。

しかしSPANではJCCHが各商品の価格変動リスクをカバーする「プライススキャンレンジ(以下PS)」という値を設定し、これを少しでも下回ると即座に立替えリスクが発生する。例えばPSを6万円とすると、従来では半額の3万円を下回った時点で追証発生という感覚だが、SPAN導入後は6万円を少しでも下回った時点で先物会社は立替えをしなければいけない。

1人や2人ならまだしも、全顧客についてこんな作業を日々こなすのは先物会社にとっても相当な負担となるので、できればこうした立替え作業などどこもやりたくはないのである。しかしSPAN導入で従来の証拠金制度に見られた「のりしろ」が全くなくなってしまったため、立替えリスクは常に背中合わせである また、相場の動きによってはかなりの金額を立替えしなければならず、経営的にもリスクが高くなる。

このため証拠金の額を増額し、その分だけ預かっていないと仕切りを出来ないようにするというやり方が考え出された。上記の例で言えば金の取引に1枚10万5000円必要なところ、先物会社側で3万円ほど上乗せし、1枚あたり13万5000円を必要証拠金として投資家側に提示することである。これは事前に委託者特約を結んでいれば、法的にも問題のない行為だが、投資家側にしてみれば取引にこれまで以上の多額の資金が必要になるため、取引量のさらなる減少が予測される。

この代替案として、各投資家ごとに売り買いの建玉(同一商品に限る)について、絶対値の大きい方の証拠金だけ負担してもらうというやり方も検討されている。例えばある投資家が金について買い3枚、売り2枚を建てた場合、3枚>2枚なのでこの場合売り2枚分の証拠金は考慮せず、買い3枚分の証拠金だけを預け入れてもらうというもの。これだと上記の問題は発生しない。

また現在要望の高い考え方で「注文の発注に必要な金額」と「建玉の維持に必要な金額」に2段階に分けて設定する方法がある。これはネット証券で広く用いられているもので、例えばJCCHがPSを6万円とした場合、先物会社の方で投資家の注文を繋ぐ(建玉する)には10万円、この建玉を維持するのに8万円が必要と投資家に向け設定する。これだと3万円の損が出た場合でも証拠金は7万円残り、先物会社側は投資家に追加入金を依頼するがJCCHへの立替えは発生しない。つまり「のりしろ」を設定して、投資家の証拠金管理に努めるやり方である。

いずれにしても、SPAN導入後は商品先物会社の証拠金方式において、ある程度自由度が増える。もともとSPANはなるべく証拠金の負担を抑えてたくさんの建玉を市場に呼び込む目的で導入するものである。例えば金について買い3枚、売り2枚を建てた場合、従来であれば計5枚分の証拠金が必要となるところ、SPANでは買い2枚と売り2枚を相殺し、実質買い1枚分の証拠金で5枚分を建玉することを可能としたのである
これは同一商品だけでなく、金と白金、ガソリンと原油など、ある程度値動きに相関関係が見られるものについても適用可能であり、どこまで相殺を認めるかは各社のスタイルによって異なってくる。業界一律のルールでなく、各社によって詳細を設定できる分、各社とも証拠金システムの設計に悩み、投資家への啓蒙が遅れている。

いずれにしても、これまで紹介したやりかたは、あくまで立替えリスクの回避に比重を置いたもので、SPANのメリットをどう活かすかという基本方針は蚊帳の外に置かれている。証拠金を厚くするなど市場にとってもデメリットしかもたらさないような施策しか打ち出せないようなら、SPAN導入は完全な失敗もしくは時期尚早だったと言う他はない。

このままではトラブル続出か、新たな証拠金制度導入目前・上

SPANベースの新証拠金、投資家啓蒙遅々として進まず

日本商品清算機構(JCCH)が来年1月から商品先物取引に導入する新証拠金システムで、一般投資家向けの啓蒙が遅々として進んでいない。新証拠金システムは米シカゴ・マーカンタイル取引所が開発したSPAN証拠金をベースとした証拠金(以下SPAN)の計算方法で、世界各地の主要取引所で広く採用されている証拠金計算手法のことである。

現行では証拠金が目減りし、取引所が毎月設定する本証拠金基準額(例:東京工業品取引所の11月における金標準取引は1枚あたり10万5000円)について半額を下回ると追証拠金が発生し、これを入金しないと強制手じまいとなる。

一方、来年から導入するSPANは基本的に「証拠金の負担額を減らす」という考えに沿って組まれたシステムである。例を挙げると、金の期先限月を5枚買い、期近限月を5枚売るという建玉を設定した場合、現行では計10枚分の証拠金が必要となる。この場合10万5000円の10枚分で計105万円が必要となってくる。個人でも大変な額だが、海外の大手ファンドなど大量に取引する投資家の場合、その負担は相当なものとなる。このため売り買いを同時に建てた場合は相殺可能とし、なるべく証拠金の負担を抑えてたくさんの建玉を市場に呼び込む目的でSPANは導入された。例えば金について買い3枚、売り2枚を建てた場合、従来であれば計5枚分の証拠金が必要となるところ、SPANでは買い2枚と売り2枚を相殺し、実質買い1枚分の証拠金で5枚分を建玉することを可能としたのである。

もっとも完全に相殺可能としてしまうとリスクも高まるため、売り買いポジションを同枚数もった場合でも、いくらかの割増料金はかかるようになる。だが、本証拠基準額よりはずっと値段を抑えて設定してあるため、負担はずっと軽くなる。

こうしてみると一見非常に合理的なシステムに思えるが、実は危険もはらんでいる。売り買いどちらかを仕切ってしまうと、急激に必要な証拠金額が跳ね上がってしまう事態が想定されるからである。例えば金について買い10枚、売り10枚を建てていた場合、SPANであれば売り買いは相殺され少しの割増料金でポジションを持っている状態となる。これを買い10枚全部仕切った場合、残った売り10枚について相殺できる買いポジションがないため、一気に必要証拠金が105万円に跳ね上がってしまうのである。これをすぐに入金しないと、投資家の売り10枚は強制手じまいとなる。

投資家それぞれがSPANのシステムをよく知り、証拠金計算を自分で理解していればある程度避けられる事態ではあるが、投資家へのSPAN啓蒙が全く進んでいないため、来年1月以降こうしたトラブルが続々と発生する可能性がある。

これについてJCCHは「一般投資家への啓蒙は各商品先物会社がやるべき」との姿勢を見せている。一方、商品先物会社もSPAN導入を間近に控え、本来投資家に告知するべき時に差し掛かっているが、実際は「証拠金制度が来年から変わります」という程度の軽いアピールにとどまっている。
これは商品先物会社の怠慢ではなく、商品設計が定まらないため詳細を言いたくても言えないというジレンマを抱えているためである。これはJCCHにも大きな責任があると言えるが、詳細は次回に。(続)

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